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服装第一主義

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そうだったらいいのにな



「みんなー!げんきー!?」





今日は2012年最後の日、いわゆる大晦日ってやつだ。
そんな日だっていうのに午前中をすべて睡眠に捧げてしまった僕はそんな声愉快な声とともに起こされた。


さすが年末、さすが大晦日とでもいうべきか。普段は僕と母さんしかいないこの家に姉(黒夢の清春じゃない方似)と親父が舞い戻ってきてリビングでくつろいでいる。でもさすがに定年間近の親父やなんかが僕をあんなファニーなボイスで起こしたわけでは無い、どうやら声の主はリビングでみんなが見ていたテレビのようだ。


テレビの中で僕を呼んでいたのはたくみお姉さんとだいすけお兄さん。
まさかご存じでない方はいないと思うが念のため説明しておくと、この二人はNHK教育で絶賛放送中の長寿番組「おかあさんといっしょ」のうたのおにいさんとうたのおねえさんだ。


つまりここまでで出て来た情報をまとめると、大晦日の昼に僕が起きるとリビングで家族そろっておかあさんといっしょを見ていた。ということになる。

まあ、おかあさんといっしょといっても通常放送ではなくいわゆる大晦日特番というやつで、みんなを童心に帰らせる懐かしのナンバーや映像なんかが流れて大人も子供も家族一緒に楽しめるってつくりになっていて、それをうちの家族も例にもれず楽しんで見ていたってわけだ。


けれどもその団欒に僕は入り込めなかった。おかあさんといっしょを単純な思い出として受け入れられなかった。どういうわけかおかあさんといっしょを見ると全身を刺されているような気持ちになる。苦い思い出が僕の全身を貫くのだ。そう、あの苦い思い出が。

 

 

あれは高校一年の冬、
半年で部活をを辞め、バイトも十個くらい連続で落ちまくっていた僕には捨てるほどの時間があった。たぶんバイトに全然受からないのは土日入れない理論を声高に提唱していたからに違いないのだけどとにかく時間があった。有り余っていた。


そんな暇を潰すために僕は毎日あることをしていた。
それは学校から家まで自転車300漕ぎで帰るとか、ずっと立ち漕ぎで帰るとかある一定のルールを定め帰宅することだ。もはやそういうところにエンターテイメント性を見出すしかないレベルで暇だった。日を追うごとにルールはどんどんエスカレートしていき自転車から急に飛び降りてふらふらと走る自転車と並走して帰るとかいろいろとエクストリームな方向へと進化していったのだが、その中で僕は一つの答えにたどり着いた。


それは、帰宅タイムアタックだ。


ルールは早く帰宅することただ一つ。シンプルにして究極、全ての無駄をそぎ落としたバイシクルエンターテイメントの完成形。そこには人種も身分も宗教もなにも入り込む隙はない。敵は己のみ。男のプライドを賭けた真剣勝負がそこにはあった。
美しさすら感じるほどのストイックさに心奪われ、僕はこの競技にのめり込んだ。
最初は45分以上かかっていたタイムも、次第に5分、10分と縮まっていき、最終的に帰宅までの時間は30分を切るようになっていた。
しかしどんな競技にも限界はあるもので僕にはそれが限界、リミット、ミラクル限界パワーだった。


そうなるともうタイムアタックはどうでもよくなってくるのだが一度鍛えた体というものはそう簡単に戻るもんではないので、特に意識しなくても帰宅タイムは30分フラット。到着時刻で言うとどうしたって四時半には家に着くようになっていた。

そして、このころの僕にはもう一つ日課があった。
それこそがまさにおかあさんといっしょを見ることに他ならなかった。


このおかあさんといっしょという番組は平日朝8時というとんでもない多忙な時間帯にやっていて普通の社会生活を営んでいる人はとても見られないのだけど、頭おかしいことにその日の朝にやった番組をその日の夕方の四時半に再放送しているのだ。たぶんこの番組のメインの視聴者層がまだケツの青いというかガキと言うのもおこがましいレベルの赤ん坊なので同じ内容を一日に2回流してもバレないという考えなのだろう。頭おかしい。


ここまで読んでくれたらもうピンと来てるとおもうんですが、僕の帰宅時間と番組の再放送時間がドンピシャ。ドンピシャりなんです。
そうなんです。タイムアタックというかおかあさんといっしょを見るために高速帰宅していたんです。
いや、もっと正確に言うとたくみお姉さんを見るために高速帰宅していたんです。ごめん、ウソついてた。オレ、ウソついてた…


このたくみお姉さんを知らない人は今すぐGoogle画像検索かけてほしいんですけど

 



 

検索した?

 




いい?



 


もう話すよ?

 




このたくみお姉さんってめちゃんこらカワイイんですよ。ホント
日本サッカー界にメチャンコリニスタ・川崎って異名を轟かせててもおかしくないくらいにカワイイ。
ってのはちょっとよくわからないんですけどとにかくカワイイんですよ。
たくみお姉さんが地上に舞い降りたお姉さんだってどっかのよくわからない岩手の奥の方にある村とかで崇められて、毎年お姉さんの美しさを維持するために村で一番若くてきれいな娘っ子が生贄に捧げられててもおかしくないくらいカワイイ。


 

はっきり言って惚れてた。


 

脳味噌をデロンデロンに溶かされそうな甘ったるい声とか特技・歴代のうたのおにいさん、おねえさんの名前をそらで言える。っていう頭の弱そうなところとか最高に僕好み。
はっきり言って惚れてた。このころの僕はたくみお姉さんのことを考えると常に語尾に「・・・ぽっ。」って着けちゃうくらいには惚れてた。



ですが高校生ってもんは体はすっかり成長して身体的な力なら大人にも負けませんが、社会的な力となると無い。悲しくなるくらいに無力なんです。
当然たくみお姉さんと知り合うようなあてもコネも無い。


僕はこの先、一生このかなわぬ思いを抱きながら生きなければならないのかと思うとどうにも憎くて。たくみお姉さんの隣でバカみたいな顔して歯茎むき出しで突っ立ってるだいすけとかいう野郎のことが。もう憎くて憎くてたまりませんでした。

はっきり言ってこのときの憎しみはものすごかった。
ジャンプ漫画とかにありがちな、長かった戦いが終わってこれまでの敵とも和解しなごやかムードが流れて完全に油断しているときに次の章のボスの手下が現れて主人公の親友のハゲをぶっ殺された時の主人公の憎しみを1クリリンとすると、この時の僕の恨みは150,000クリリンだった。そのくらいやばかった。


おかあさんといっしょの曲に「魔法のピンク」っていうスーパー名曲があるんですよ。
一見するとデリヘルかソープランドの名前かと思うこの曲ですけど作詞作曲さだまさしですからね。アントキノイノチといいさだまさしのネーミングセンスはやばい。まあネーミングの件を差し引いても十分名曲なんですよ。特にこの曲の一番の見どころに「ウヒョヒョヒョヒョ」と奇声を発しながら寄り目にするっていう復帰前のノリピーでもやらないようなことをたくみお姉さんがやるっていうところがあるんですよ。

「私そんなことできません・・・」
「弟さんの病気、大変みたいだね」
「!!・・・どうしてそのことを?」
「君も大人なら、後は言わなくてもわかるよね?」
「・・・はい。」

という裏エピソードを知ると聞くたびに涙を禁じ得ないようなスーパー名曲なんですよ。まあ嘘なんですけど。ごめん、オレ・・・ウソついてた



それをなんだ!だいすけ!
たくみお姉さんがあんなに真剣に歌ってるっていうのに、お前は歌の途中「ウヒョヒョヒョヒョ」だと!?寄り目までして!!


ふざけてんのか!!


やる気がないなら帰れ!!


本当に帰るバカがいるかっ!!!


まったくけしからん!だいすけは!



そんなこんなで何とかしてだいすけをうたのおにいさんの座から引きずりおろし、なんとかしてたくみお姉さんとお近づきになる方法を考えていたんです。


ホント僕って頭いいなと、ホント僕って恐ろしいなと思うんですけど、なんとこの2つの問題を一気に解決する方法を思いついてしまったんです。



それは




 

僕がうたのおにいさんになることです。




 


僕がうたのおにいさんになれば、当然だいすけの野郎はクビ、たくみお姉さんは超人気なので残留でしょうからモチロン僕とコンビを組むことになります。
そうなれば二人が恋に落ちるのも時間の問題でしょう。




完璧




そうと決まればあとは早い。




一般的にうたのおにいさんおねえさんへの一番の近道は

・音大声楽科へ入る
・劇団四季へ入る
・宝塚へ入る

のどれかの条件を満たすことと思われがちですが、甘い。



そんなことみんなやっている。



差をつけるにはみんながやってないことをしなくては。予備校とかでよく言われるだろ?



というわけで独自ルートからの情報によりますと、NHKに童謡を送りまくって担当の心に響けば即採用と出ましたので、とりあえず手始めに100曲程度作ってみることにしました。



しかし担当の心を震わせるにはただ闇雲に作曲してもダメ。ゲームには必ず攻略法があるように、名曲にも必ず法則があるはずです。

温故知新

という言葉もありますので、昔からある童謡を聞きこんで徹底的に研究します。





早速ブックオフに行ってCDゲット










そんでパソコンに取り込んで、っと














おい、







なんだよこれ





 

本当ならこうなるはずが



 

1.きみのなまえ
2.もりのくまさん
3.そうだったらいいのにな
4.アイアイ
5.とんとんともだち
6.せんせいとおともだち
7.あつまれ!ファンファンファン
8.パジャマでおじゃま
9.とけいのうた
10.ことりのうた
11.おべんとうばこのうた
12.むすんでひらいて
13.はみがきじょうずかな
14.ホ!ホ!ホ!
15.ほしぞらカーニバル
16.おばけなんてないさ
17.みなみのしまのハメハメハだいおう
18.げんこつやまのたぬきさん
19.おおきなくりのきのしたで
20.おはなしゆびさん
21.てをたたきましょう
22.アイスクリームのうた
23.いっぽんでもにんじん
24.ぼうがいっぽんあったとさ
25.クラリネットこわしちゃった

 





なぜかこうですからね




 

1.きみのなまえ                → 何じゃこりゃ
2.もりのくまさん               → 二曲目よ〜ん
3.そうだったらいいのにな         → お猿さん
4.アイアイ                   → あつはなついね
5.とんとんともだち              → 急がば回れ
6.せんせいとおともだち           → 徒然草
7.あつまれ!ファンファンファン      → ウルトラセブンの歌
8.パジャマでおじゃま             → うっしし
9.とけいのうた                 → 織田信長の生涯
10.ことりのうた                 → コピ−コントロールCdは嫌いです
11.おべんとうばこのうた           → 牛丼食べたい
12.むすんでひらいて             → 水戸黄門愛のテーマ
13.はみがきじょうずかな           → さいころあっぷぷ
14.ホ!ホ!ホ!               → ねー最近藤原紀香って老けたよね
15.ほしぞらカーニバル           → 愛と青春の旅立ち
16.おばけなんてないさ           → ハリーポッター
17.みなみのしまのハメハメハだいおう  → けりたい背中
18.げんこつやまのたぬきさん       → 亀井さんって寝癖ついてること多くね
19.おおきなくりのきのしたで        → ラーメン大好き小池さん
20.おはなしゆびさん             → メイビー?
21.てをたたきましょう            → 太鼓たたいちゃうぞ!
22.アイスクリームのうた          → うーーーーたん
23.いっぽんでもにんじん         → 目黒の秋刀魚
24.ぼうがいっぽんあったとさ        → キャいーん
25.クラリネットこわしちゃった       → どうしたんだろう最近さくらももこのエ




 

なんですかこれは!
陰謀?NASAの陰謀?

イタズラした人!絶対に怒らないから正直に手を挙げなさい!!
先生、これ最初に見たときはホンッッッッxtトにびっくりしたんだから。


ちょっと話が合いそうなのが余計にむかつく


そんなこんなでこれを見た途端に糸が切れたようにどうでもよくなってしまって、僕のだいすけ追放計画と童謡達が日の目を見ることはありませんでした。









だから、おかあさんといっしょを見ると心が痛むんです。










童謡の歌詞を書き連ねたノートが「思い出してくれよ」と呼んでいるような気がして。

 

 

 





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